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中ノ俣

中ノ俣の撮影を始めて15年以上も過ぎた。

初めは物珍しさで撮っていた写真も村人に接していると、日本の農村の抱えるさまざまな問題が

見えて来る。


一番の問題は人口の減少による過疎化と高齢化だ。撮り始めた当初は人口が150人程で

まだ活気があった。

現在は50人そこそこにまで減ってしまった上に高齢化にあえいでいる。

 

この中ノ俣という村は他所と違って人と人の結びつきが強い。

 

それは谷間の丼の底のようなせまい場所で互いに助け合って生きて来たのがその理由だ。

 

峠を1つ越した桑取り谷では海へ通じる道があって昔から人の出入りが多かったのでコミュニティーには外の風がいつも吹いているような所だ。

 

だから桑取り谷から中ノ俣へ来て驚かされたのは、中ノ俣独特の空気だ、

人間関係が実に濃厚なのである。

 

なにしろ村始まって最初に他所へお嫁に行った百歳の女性が数年前に亡くなられたというのだ

 

 

過疎化が始まったのは、収入の大半を炭焼きからの収入と米作に頼っていたのが、ガスの普及で炭が売れなくなった事に始まる。

出稼ぎに頼らざるを得なくなったのである。

 

その辺りから村を出る人が増えて人口が減り始める。

 

一時は600人もの人口を抱える村だったのだ。